異見を求める相手がほぼ父しかいないわ



読書の記録をつけていたら長く(感想が)なってしまった。ので、記録しなかった部分をここに残そうかと。せっかくなんで、


 
 昨年だったと思うのだけれど、ラジオの聞き逃しサービスで大岡昇平の「野火」についての放送を聞き、ついでそれを読んだ。戦争でフィリピンのレイテ島での終戦間近の史実を交えた小説です。


 日本兵同士、お互いが「食べ物」に見えてくる・・という話です。


 物語の終わりの主人公の独白は「もう誰も自分にイヤことを強いることは、させることはできないのだ」という内容の一節。
それはわたしに学生時代、ビールジョッキの一気飲みを強要され憤慨し、その行為を憎んでいると言っても過言じゃない憤りを表出させている同期がいたのを思い出させる。 


 で、「野火」を読むと人肉を食べるつながりで↓ この小説につながるんですよ。ほんと、ネットってその点、すごいわ。
ひかりごけ (新潮文庫) - 泰淳, 武田
ひかりごけ (新潮文庫) - 泰淳, 武田

 父に👆この小説の話を聞いたら承知で「オマエ、どこでそんな話?」みたいに驚いとったが、こっちが驚く。

 

 この事件はこの小説が出たころ、そして、この小説が映画になった時など話題になった模様。


 そんなわけで、下記にレビュー登録サービスに書き込もうと思った全文を記録として残しておこうと思いますー。



 ちなみに図書館からかりた版はこちら↓
ひかりごけ・海肌の匂い (1964年) (新潮文庫) - 武田 泰淳
ひかりごけ・海肌の匂い (1964年) (新潮文庫) - 武田 泰淳

 旭川の民はこの本をそれほど要求してないと見えて、水の痕でヨレヨレでしかも新潮文庫¥220-の時代のモノ。

 ホント、本が高くなり買うのに躊躇する時代に。電子版とて同じこと。


 じゃあ、読みたい人はどうぞ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ひかりごけの私を案内する校長の頼りなく自信のない風采を遠藤周作の「おバカさん」の主人公ガストンではないかと思わされ驚く。
著者はキリスト者なのか。
そしてその風貌は仲間を糧にした船長の風貌へと溶け込んでいく。

主人公の我慢を理解するものはなく孤立する構図はカミユの異邦人にも似て不思議だった。そうして、最初の短編、流人島にてから順に読み進めるとそれぞれの主人公を覆うように見えざる大きな存在が感じられるが、その存在は決して彼らを救うことはない。

無常観。そう書いて「無常」の意味を調べてみれば、無常とは仏教の観念なのですね。自分で書いておいて、なるほどなあと思ってしまった。

「野火」を読んだことから、この小説につながり、図書館で借りた。
人が人を食べるということで繋がるということで、この小説?中にも著者の野火への言及があり、著者は「野火」に対して批判的である。


 わたしは「野火」においても「ひかりごけ」においても人が人肉を食べるということにそれほど大きなショックは受けていない。
どこかにあるような、おぼろな想像だけど、狂信、あるいは熱狂を持って人を生贄にする種族があるらしいという想像とは違って、「ひかりごけ」の場合も「野火」の場合も人の心理は極限状態である。

ずっと以前に見た「生きてこそ」でアンデス山中に墜落し、人肉を食べて生き残った史実や小説「沈まぬ太陽」で描写された死者の屍は単なるボディだと表現されていたことが私の意識に浸透してるのか、
わたしは特別に宗教を信仰していないし、人の死体を単なる容器とみなすことはないと思う。

けれど、「野火」と「野火」の主人公に関して手放しで「感動」とは呼べない「あれ??」という読後感があった。
サルの肉と称して食べさせられ、食べた肉が本当にサルのものであったのか。人肉を口に入れられたが吐いたというのが本当なのかということだ。
 さらっと紙に書かれた独白を100%信用することはできず、疑問が残る。紙の向こうのペンを持つ人の中にこそ事実はあるのではないか。著者の真実はそうでも、事実は違うのではないのか。

余分なことを付け加えるなら最終段階での女性、そして男性へをも含める蔑視の表現についても含め、著者の中に選別の意識があるのではないかとい訝る。自分は人肉を食べなかったという優越感。狂気のふりをする姿はすでに自分と他者とは違うのだという響き。戦争批判の表現は心に迫るのだけれど。

私の心には生きるために、そこに残された遺体を食べたことに特別な気持ちは生じない。経験がないのだから、理解というのとも違う。そういうことがあったのだと思うだけ。・・・・小説を書くのも読むのも人間だなと思う。

「ひかりごけ」を読んで、「野火」についてスッキリしない読後感が何だったのか、ちょびっとわかったような。


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 やっぱ、三國さんですか!?
ひかりごけ [VHS] - 三國連太郎, 熊井啓, 三國連太郎
ひかりごけ [VHS] - 三國連太郎, 熊井啓, 三國連太郎


 ちなみにずいぶん前に羅臼へ登山へ行った帰りに、マッカウス洞窟へ行ったような気がするんですけど、なんかその時に標識にそんな記述もあったような‥気が。

 今は立ち入り禁止のようです。


 おどろくわー。行ったことあるなんてへー。

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この記事へのコメント

  • ヤス

    なるほど、なんと言ったらいいか私のスカスカ頭ではよくわかりません。
    父上様にお任せいたします。
    2020年06月23日 07:24
  • くろねこ・ぷぅ


    >ヤスさん
    そうですね(笑)。
    読み返してなんやねん?な気持ちになりましたな。

    ただなんですか、二つの小説や史実は結局は戦争がこのような悲惨な状況を作ったので、戦争は絶対にイカン!ということでしょうか。
    自分でも知らなかった欲望が生まれてしまうという恐ろしいことですぬー。
    2020年06月24日 13:17